上水堤は今まさに緑のトンネル!瑞々しい若葉から青葉に変わりつつある緑のトン
ネルの下を歩いていると、風まで緑色に染まって心地よく感じます。でも心地よい風
ばかりでなく、時には憎たらしいくらい強く吹いて…。
小桜橋下流へキンポウゲ(金鳳花)に会いに行った時もそうでした。花径3センチ前
後の黄色の花はエナメル光沢があり、初夏の陽射しを受けて金色の釦がキラキラし
ているよう。数本に枝分かれした細長い茎は折からの風に煽られて、ピントを合わせ
るのが難しかったけど、どんな風にも強弱があり静止する一瞬を、力まずに待つのが
撮影のコツみたい。草木の花を撮り始めて7年目にしてやっと、その呼吸が分かりか
けてきました。
キンポウゲの方も風吹くままに、しなやかに咲いて生の歓びをキラキラさせている
ようでした。その光り輝くイメージに似合わず通称はウマノアシガタ。根生葉が馬
の足の形に似ていることからだそうですが、実際には馬よりも鳥の足に似ているよ
うに思うのですが…。二輪草、福寿草、クレマチス、クリスマスローズ、トリカブトも
キンポウゲ科の仲間で、いずれも花はチャーミングですが有毒植物だそうです。
キンポウゲの近くには、フタリシズカ(二人静)がひっそりと白い花穂を掲げていまし
た。幼名牛若丸、後の源義経の愛妾で白拍子(舞妓)、平安末期の悲劇のヒロイン
として今日も語り伝えられる静御前のイメージに因む野草の一つ。源平の戦いの後、
兄の源頼朝と対立した義経との仲を裂かれ、捉えられて 当代一とされた白拍子の
舞いを強要されたという。その静御前が手にして舞った鈴の形に似ているとも言われ
る花穂には、米粒大の白い花が点々と清楚です。センリョウ科の多年草で、同属種
のヒトリシズカ(一人静)も僅かですが久右衛門橋下流に。センリョウ科の花は花弁
をもたないとのこと。
帰途、あかしあ通りで風に乗って甘い香りが!見上げたら街路両側のニセアカシア
に花穂が揺れていました。これまでになくたわわに花穂をつけており、木によっては
白く染めるくらい沢山の花が見られました。植樹されて約40年、このところ年々、花
穂をつける木が増えてきました。
西田佐知子の甘いハスキーな歌声でヒットした『アカシアの雨がやむとき』や石原
裕次郎の『赤いハンカチ』、北原白秋の『この道』に歌われているアカシアは実はニ
セアカシア(贋アカシア)で、“贋”がつくのを避けて別名のハリエンジュと呼ばれるこ
とも。北米原産マメ科ハリエンジュ属の落葉高木で明治初期に日本に渡来した当
時はアカシアと呼ばれていましたが、その後、本来のアカシア(ネムノキ科アカシ
ア属)の仲間が日本に輸入されるようになり区別するためニセアカシアの名称に。
薬用植物園では“なんじゃもんじゃ”の木として親しまれているヒトツバタゴ(一つ
葉タゴ)が花盛りでした。学名通り雪が降り積もったように!