関東甲信越も去る27日に梅雨入りしたそうで、開花し始めたヤマボウシ (山法師)
も空模様と相談しながら急ぎ足で訪ねました。例年より12日も早く梅雨入りしたのは、
気象庁の観察史上2番目の記録だそうですね。道々エゴノキの落花がおびただしく、
“落花曼荼羅”を見るのも梅雨入り前の楽しみだったのに…。
商大橋下流40~50メートル左岸、新堀用水際にかなり大木のヤマボウシが一本。
どなたかが幹に手書きの名札を下げて下さっていますが、緑道からは花を見るの
は難しいので、気づかない方が多いでしょう。商大橋を渡って平櫛田中彫刻美術
館の生垣付近から眺めると、ヤマボウシの葉の茂みに、竹とんぼが一斉に飛び
立ちそうな姿で、開花していました。雨がポツポツ落ちてきたので急いで撮影!
ヤマボウシは本州から九州に分布するミズキ科の落葉亜高木で、朝鮮から中国に
も分布。街路樹や庭木としても人気があり、よく見かけますが本来は山地の谷間な
どに生育。中国名では「四照花」と称され、枝いっぱいに花が咲いた時に四方を照
らすようだからとのこと。上水沿いヤマボウシは園芸種より花は小さめで、趣きもか
なり違って見えます。白い花びらに見える菱型あるいはハート型の4枚は総苞で、
中心部の球形が実は花の集合体です。その球体がお坊さんの頭に見えることから
山法師。万事アバウトなモグラは数年前まで山帽子だと思い込んでおりました。
ヤマボウシの付近で甘い香りがするので見回したら、スイカズラが純白から黄色に
色づきつつ芳香を漂わせていました。長めの嘴を開いたような花弁は上向きが3~
4枚に分かれて見えます。咲き始めは真っ白ですが、最盛期が過ぎる頃から黄色に
変っていきます。
白を銀、黄を金に見立てて一名金銀花とも。和名は吸蔓、あるいは冬にも葉が落ち
ないことから忍冬(にんどう)とも呼ばれています。
「童は見たり 野中のばら」で始まるゲーテの詩にウェルナーやシューベルトの
作曲で有名な「野ばら」も、上水堤で愛らしい花を。ただゲーテが愛したドイツ
の野ばらとは違うようで、「紅におう」「赤きばら」ではなく、ほんのりしたピンク
色が殆どです。
このゲーテの詩は作曲家にとても人気があり、シューベルトとウェルナーの曲以
外にも、分かっているだけで154もの「野ばら」 という曲があるそうです。
また訳詩もシューベルトとウェルナーの曲では微妙に違うのが私には不思議でし
た。どちらも近藤朔風の訳詩なのですが…。