あれよあれよと言う間に一月最後の日曜日を迎えました。一月は旧暦の一月の別
称・睦月と称されることも多いですが、祝月、嘉月、初月、元月、泰月、太郎月の他、
早緑月、萌月とも呼ばれるそうです。年の始まりの月であると同時に草木が萌え始
まる月とされています。実感はともかく 早緑月、萌月なんて日本語ならではの別称
ですね。
今日は午後から風が強くなり、気温も冷え込んできましたが、先週半ばから寒気が
緩み、日中の気温が10℃を超しており、梅の便りも聞かれるようになりました。小
平でもそろそろ…かと、都立薬用植物園へ出かけてみました。入口付近で出会った
観察会グループから「まだ節分草も福寿草も咲いてなかった」と聞いて、ちょっとが
っかりしましたが、「有用樹木区」の一角で枝先に濃紅色がチラリ!
「ここに咲いているよ!」と言わんばかりに、早咲きの紅梅がチラホラ開花!その姿
は言葉より確かな声のようでした。
紅梅の近くには蠟梅が数本植わっており、その甘い花の香りが漂ってきました。小
木ながら枝の先々まで淡黄色の蝋細工のような花が、まさに満開! リッチな気分
になりました。
ロックガーデンの植物たちはまだ冬眠状態でしたが、雪の雫とか耳飾りと呼ばれ
るスノードロップが一群れ開花。ヨーロッパからコーカサス山脈にかけて自生して、
春をいち早く告げる花の一つです。ヨーロッパでは古くから親しまれており、神話
や伝説が多く残る植物で、キリスト教では2月2日の聖燭節 (キャンドルマス) の
花とされています。
草丈20センチ足らずですが、早緑色の茎先にひと雫の花を吊り下げ、3枚の外
花被も開かせていました。花径は1~2センチのいたいけな姿で、別名は待雪草。
たしか、数年前の今頃にセリバオウレン(芹葉黄連)も咲き始めていたはず…と、
雑木林エリアの林縁を丹念に見て歩いたのですが、まだ姿がありません。這いつ
くばるようにしてやっと、立ち上がりかけた花茎を見つけました。キンポウゲ科の
多年草で、根茎は黄連と称して漢方で健胃や整腸薬に使われるそうです。
「漢方薬原料植物区」で開花したばかりのセリバオウレンを1茎だけ見つけました。
草丈10~20センチの花茎の上部が数本に枝分かれして、花径1センチあまりの
白い篝火のような花を。披針形の萼片5~7個に花弁が8~10個もあるので、小
さいながらも目立つ存在です。
フロントの案内板にナギイカダが開花中と、その写真が紹介されていたので、有
用樹木区で探したところ、見つけました!極小の花だと書かれていましたが、小
さいの何のって…本当に花かしらと思うくらい。花径2~3ミリ、肉眼でやっと見え
る大きさです。説明板によると葉っぱに見えるのは枝の変形したもので、葉は退
化。その葉に見える枝の付け根付近にホクロみたいにくっついているのが、ナギ
イカダの花だそうです。
ナギイカダは地中海沿岸地方原産のユリ科の小木。明治初期に渡来したそうで
す。その小さな花を撮るのに四苦八苦していたら、赤い実も葉状枝につけていま
した。径5ミリ大の球形の実は艶やかです。葉状枝の先が針のように尖っていて、
指先をチクチクと刺されてしまいました。いやはやナギイカダには泣かされました。
・・・・・温室内ではバナナの花と青いバナナ、カカオの実も・・・・・
温室内では何とバナナとバナナの花も見ることができました。温室の天井に届く
ほどに伸びて、葉を茂らせているバナナの木の上部に青いバナナの房が5~6
段も!所謂モンキーバナナくらいの大きさですが、1本1本の先に花の咲き終わ
った名残りを留めているものも。
そして、房の最下段には赤紫色の紡錘型のバナナの花もつけています。バナナ
の花って、トウモロコシの外皮のような萼片が重なり合ったもので、咲き始めは
紡錘型の萼片は上を向いており、開花と結実が進むにつれ下向きになり、下へ
下へと開花していくらしいです。
またカカオの実も、ラグビーボール状の青いものから熟したものまで、沢山つい
ており、しばらくは観察できそうです。