前日からの雨が雪に変わることもなく迎えた弥生三月、最初の日曜日。明日は桃の
節句ですが、三月と言えば、あの東日本大震災の記憶が押し寄せて…復興への道
程も遅々として、仮設住宅や避難生活を送る人々の映像を見るたびに、複雑な思い
に駆られます。
先月の大雪の後遺症もまだ続いている地域もありますが、桜の季節のような陽気が
訪れた日、まんず咲くという満作が開花しているのではないかと、足を向けてみまし
た。商大橋近く上水堤で目を凝らしたら、枝先にそれらしい姿が!このところの重苦
しい心にも薄日が射してくるようでした。
早春の花にさきがけて“まず咲く”の“まず”が転じてマンサクとされる説が一般的で
すが、樹木全体を黄色く染めるくらい花をたくさんつけるので 「豊年満作」から命名
されたとも。マンサク科の落葉小高木で、日本各地の山林に自生するほか、春に先
駆けて咲くので古くから多く栽培もされています。紙縒り みたいな鮮黄色の花弁が
4枚、よじれて咲いており、花言葉は「幸福の再来」だそうです。
桜橋下流の旧家には河津桜も!五日市街道沿いのブロック塀越しに枝を伸ばして
薄紅色の花がほぼ満開でした。ソメイヨシノより花が大き目でピンクの色が鮮やか
です。オオシマザクラ とカンヒザクラの自然交雑種であると推定されています。
静岡県賀茂郡河津町田中で原木を偶然発見したことが由来で、昭和50 年4月に
河津町の木として認定され、河津川沿いに約800本がそろそろ満開だそうです。
記録的な大雪と寒波で遅れていたのか、テイカカズラの種子が浮遊するシーンが
なかなか見られませんでしたが、やっと到来。桜橋~喜平橋間では目下、テイカ
カズラの莢果が弾けて種子が落下傘のようにフワリフワリ飛散しています。上水
堤の下草刈りに続いて小低木の間伐も行われており、発見しやすくなりました。
平安の歌人・藤原定家が生涯慕い続けた内親王が亡くなった後も、蔓となって彼
女の墓を守ろうと巻き付いたという 伝説から定家蔓。昨今では ストーカーまがい
の行為ですが、このテイカカズラは高木にからまって、真冬でも葉を茂らせていま
す。生垣など観賞用に植えたテイカカズラは実を結ばないとか。
あかしあ通りのガードレールの下で、ハルノノゲシ(春野芥子)も開花していました。
まだ草丈は 30センチ前後で、 タンポポに似た黄色の花を、分岐した茎の頭部に
咲かせていました。 ありふれた路傍の花でも、この時期に咲いていると、愛おしく
感じられます。また、見た目には、花は同じですが葉や茎、萼にも剛毛や棘のある
オニノノゲシに比べて、優しい感じです。
三月は花見月とか花咲月とも呼ばれるそうですが、これから草木の花が開花する
のが楽しみな月で、夢見月とも。
「小平ふるさと村」へも足を伸ばしてみました。旧小平小川郵便局舎と旧神山家住
宅母屋に、雛段飾りが展示されていました。平日の午後でしたので、来訪者は ボ
チボチ。人けのない座敷に飾られている雛段を見ていると、幼児の頃が想い出さ
れました。生家の奥座敷に祖父母たちが雛段を飾ってくれたのですが、
3~4歳の私は「怖い!」と言って泣き出したそうです。
普段あまり使われていない薄暗い座敷で、当時のお雛様は目が細く、幼児の目
には不気味に映ったのでしょう。私には泣いた記憶はありませんが、後々、母や
祖父母からしばしば聞かされました。最近のお雛様って睫毛がフランス人形のよ
うにカールしているのもあるとか…。
下は青梅市御岳の土鈴展示館「鈴蔵」で求めた「みたけびな5人飾り」です。