寒さとの闘いもあと少し、二十四節気の一つ「雨水」に入り2月最後の日曜日を迎
えました。東京マラソンも9回目、心配された雨やテロ事件もなく 3万6000人が東
京都心を駆け抜けました。スタート地点は赤青黄などのウェアで埋まり、花吹雪を
散らしたようでした。毎年ながら市民ランナーが多いのにびっくりします。
「雨水」を迎えた日は風が冷たかったけれど、空は青く晴れあがっていたのでスプ
リング エフェメラル=春の妖精を求めて、東京都薬用植物園へ。春まだきの園内
でしたが、製薬原料植物区で山茱萸 (サンシュユ)蕾が膨らみはじめていました。
蕾の二つ三つは萼の口を開けており、おくるみをそっと解く感じでした。
萼が開くと4弁の黄色の花が 10数個も八方に広がって、木全体が黄金色に染ま
るようになるな姿から、牧野富太郎博士が春黄金花 (ハルコガネバナ)と名付けた
そうです。山茱萸は江戸時代中期、享保7年 (1722) に薬用として朝鮮から種子
が持ち込まれ、東京の小石川植物園と駒場薬園に植えられました。山茱萸は生薬
の漢名を音読みして、サンシュユ。上は昨年3月上旬に同園で撮影した画像です。
和紙の原料とされる三椏(ミツマタ)はまだ固い蕾のままでした。蕾の先を開けると
黄色の筒状の花になり、その花房が満開になると薬玉みたいになります。朱色の
アカバナミツマタもあります。今春は1週間前後遅れているようです。
ロックガーデンではお目当てのスプリングエフェメラルが数種開花していました。そ
の一つは節分草。小群落に20株 くらい開花していましたが、いずれも太陽に向か
って開花しており、見学通路からは後ろ姿ばかりで…。カメラマンたちを嘆かせてい
ました。
節分草はキンポウゲ科の多年草。関東地方以西に分布し、石灰岩地域に多く見ら
れ。古名はイエニレ(家楡)。茎丈10㌢ほど。花径2㌢ほどの白い花を咲かせてい
ますが、花弁に見えるのは萼片で、花は退化して黄色い蕊状に。横向きを2輪ほど
見つけて撮ってみました。早春の淡き命だけに太陽が恋しいのね。
同じロックガーデンにスハマソウ(洲浜草)も開花していました。俗に 「雪割草」と呼
ばれる花の1つで、 山地の日陰に自生し、早春に花茎を伸ばして雪を割るようにし
て咲き出します。 雪割草の原種は、日本に自生する三角草 (ミスミソウ)、大三角
草(オオスミソウ)、洲浜草、洲浜草(ケスハマソウ)の4種のほか、海外に9種ほど
あるとか。
待雪草(マツユキソウ) とも呼ばれるスノードロップも、まだ冷たい表土を割って可
憐な花を。草丈10㌢ぐらい。一本の茎にひと雫の花を吊り下げ、日中は3枚の外
花被が開けて日没には閉じ、花径は1~2センチ。
ヒガンバナ科の球根草で、ヨーロッパからコーカサス山脈にかけて 15種類くらい
分布しているそうです。アダムとイブが 楽園を追い出されて困っていたとき、降っ
てきた雪を天使がスノードロップの花に変えて、未来に希望を与えたとか。
青少年が殺害される寒々とした事件が続きますが、春の妖精たちに出会って、少
し気分が上向いてきました。陽光と花は心にも花を咲かせるのですね。
国分寺駅ビル入り口のフラワーショップには、桃の花が!雛節句も間近です。