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忘れ得ぬ人々& 道草ノート

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折々通信No.41 青葉どき

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        一服に一日一生青葉どき
   日一日緑が色濃くなり、5月も下旬に。第4日曜の昨日は、八王子市内で催された
   お茶会でひとときを過ごしてきました。
   甲州街道と16号八王子バイパス交差点の近くにありながら、深い緑に囲まれ時が
   止まったようにも感じられる「芳林閣」で、旧知の茶道家で陶芸家でもある設楽道生
   さんが主宰している初夏の茶会でした。
   ここ1週間は自宅の補修改修で、職人さんたちが出入りして落ち着かない日々を過
   ごしてきただけに、不作法ながら広間と立礼式での各一服は“一日一生”の思いでし
   た。広々として天井の高い多目的室からは、日本庭園の緑が目に痛いくらい。
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   「芳林閣」は地元の人にも殆ど知られてない存在ですが、八王子が織物業で繁栄し
   ていた昭和10年頃に建てられ、市街地と周辺が焼失した八王子空襲(昭和20年8
   月2日)で、奇跡的に焼け残った建物です。入母屋造りの2階建てで、通し柱は伊勢
   神宮変宮 の際に用意され、使われなかった檜の柱を使っており、漆喰の白壁は当
   代きっての左官工が手がけたそうです。八王子の織物の栄華を伝えようと長年無人
   で放置されていた家屋をここ10年余りかけて改修。現在は1階建てで 20畳の多目
   的フロアー、書院床の間付き和室、控えの間などを伝統文化を伝える催しや学習会
   などに貸し出されています。上は屋根付きの正門で、門前に イボタノキの純白の花
   房がモクセイ科らしい芳香を漂わせていました。
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   元は輸出用織物を先駆けた経営者が自宅兼迎賓館として使っていたそうで、間仕切
   も天井板も欅や檜、屋久杉の一枚板、細工も日本の伝統建築の美を見せてくれます。
   茶会にかこつけて建築家や職人さんが見学に訪れていました。
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   約2600平方㍍の敷地内には、戦前の姿を留めた回遊式の日本庭園と現在のオーナ
   ーが自ら手掛けている洋風庭園があり、散策も楽しめるようになっています。
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   建物の北側には濃いピンクのキョウカノコ(京鹿の子)が早々と咲いていました。例年
   より1~2週間は早いそうです。広間席の茶花にも1輪添えられて…。
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   洋風庭園ではカリフォルニアポピー(花菱草)、ガーベラなど草花とアンティック風アー
   チには真紅のバラが…。カリフォルニアポピーは 北米カリフォルニアの州花になって
   いて、ネバダ州からテキサス州まで広く自生。丈夫で長持ちするとか。
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   その名の通りボトルブラシにそっくりで、真っ赤な花穂をつけるボトルブラシ又はブラシ
   ノキと呼ばれる高木は、隣家の屋根に届きそうでした。オーストラリアやニュージーラン
   ドに自生しているそうですが、最近は庭木としてよく見かけますね。
   この日の茶会で使われていた抹茶茶碗や茶筅、水差し、瓶受け、風炉、乾漆の棗(なつ
   め)など道具一式もお菓子も設楽さんの手づくりでした。
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by love-letter-to | 2016-05-23 02:15 | 折々通信 | Comments(0)