忘れ得ぬ人々& 道草ノート

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折々通信No.59 色づき始めた奥日光で

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           ななかまど燃え補陀洛(ふだらく)の山仰ぐ
   秋の長雨が降り続いていた先週末、2泊3日で奥日光・中禅寺湖畔を訪ねてきまし
   た。夏の行楽と秋の紅葉の狭間の生憎のシーズンですが、この時期に通い続けて
   10年。日本でのフライフィッシング発祥の地と云われる奥日光に 鱒釣りのメッカを
   築き、かつては30~40棟も立ち並んでいた外国大使館や外国人別荘の中でも中
   心的存在で、ひと際スケールの大きかった日英混血の実業家 ハンス・ハンターの
   西六番別荘地。その跡地の公園で開かれるハンター忌(9月24日)に参加してきま
   した。
   8月半ばから晴れた日が殆どないということでしたが、3日目は朝から青空が広がり、
   男体山も久しぶりに全容を見せました。湖畔のナナカマド(七竈)の葉が色づき始め
   実はもう真っ赤に。
   補陀落(ふだらく) は観音菩薩の住処、あるいは降り立つとされ、日光という地名は
   補陀落~二荒(ふたら)~二荒(にこう)~日光となったという説があります。
   中禅寺湖は海抜約1240㍍、日本で一番高いところにある湖です。男体山の高さ
   は約1000㍍。晴れていても雲や霧の流れが絶えず、瞬時に見えなくなることもしば
   しばです。
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   25日中禅寺湖でのワカサギ漁解禁(9月20日~10月31日)になって初めての日曜
   日で、久々の晴天とあって朝7時の開始時刻には100艘以上の釣り船が湖へ。
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   湖岸から見ると色とりどりの釣り船が静止したままで、点々とまるで絵に描いたよう。
   定められた漁区域内でひたすらワカサギを釣っているそうです。2011年の東日本大
   震災・東電原発事故以来放射性物質が国の基準値を超えて、禁漁・持ち帰り禁止が
   続いておりましたが、本日のモニタリング調査では持ち帰りも可能ということでした。
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   今年の7月1日にリニューアルオープンした「イギリス大使館記念別荘」も訪ねてみ
   ました。菖蒲が浜、千手が浜まで望める一等地に幕末・明治初期に活躍した英国の
   外交官アーネスト・サトウ(1927~1990)が明治29年(1872)に自分の山荘を建
   て、好きな登山や植物の採取を楽しんだとか。日記によると、いろは坂にバスなど通
   ってなかった時代に、ひんぱんに往復しています。後に英国大使館別荘になり、平成
   20年(2008)まで利用されていましたが、栃木県に寄贈され改装工事を終えて公開。
   湖水に面した木造2階建てはできるだけ往時の姿を再現。素朴な外観が周囲の景観
   に溶け込んで見えました。
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   1、2階とも広縁からの眺めはイングランドの湖水地方を偲ばせて、気象により刻
   々と変わる眺めをのんびりと楽しみたい雰囲気でした。家具調度も大使館別荘時代
   と ほぼ同じだそうです。
   2階のダイニングでは紅茶4種とスコーン2種のセットなどが楽しめます。訪ねた
   日は週末でツアー客が続き、楽しみにしていたアフタヌーンティーは諦めたのが残
   念!次回には楽しみたいと。
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   アーネスト・サトウの履歴や日本各地の旅での記録、幅広い交流史が展示され、そ
   の旺盛な好奇心と多彩な活動に驚きました。彼を魅了した奥日光をはじめ日本の素
   晴らしさを見直しました。きっと、そういう人が多いはずだと…。
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   低公害バスで千手ヶ浜へ向かう途中で見た小田代ヶ原は、湿原状態で草紅葉もやっ
   と色づき始めた状態でしたが、1~2週間後には見頃を迎えそう。バス内のアナウ
   ンスでは鹿の食害対策として設けた電気柵を効果でワタスゲ、リンドウなど自生植
   物も復活してきているそうです。
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   ハンス・ハンターが鱒釣りの拠点にしていた千手ヶ浜の「東京アングリング・エン
   ド・カンツリー倶楽部」跡へは、低公害バスの終点から徒歩10分ほど。
   外山沢川にかかる木橋と吊り橋を渡ると、湖面に向かって開けた草地が見えてきま
   した。途中、「熊に注意」の立札が下がり、辺りは怖いほど神秘的な雰囲気です。
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   「東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部」のクラブハウスは3年前に全焼し
   てしまいましたが、後継管理人の伊藤誠さんが「仙人庵」と称する住まいを再建。今
   やクリンソウの聖地として知られるようになった敷地内に、5~6月は3万人も訪れ
   たそうです。
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   火災で重体に迫った伊藤さんも元気になられて、クリンソウの管理や敷地内の整備
   に勤しんでおられました。
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   昭和22年(1947)9月24日、64歳で他界して69年、地元の有志やハンター氏の足
   跡に関心のある仲間で続けられてきた「ハンター忌」も10回目を迎えました。
   例年通り「西六番別荘地」跡に残る暖炉の焚口に花を供え、中禅寺湖に花びらを流
   すセレモニーも終えました。終日降っていた雨も、その間だけ止んで、参加者は
   「奇跡的!」と。
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by love-letter-to | 2016-09-26 15:01 | 折々通信 | Comments(0)