梅雨が明けるなり猛暑日が続いて夏本番!ギラギラ照りつける太陽と照り返しで街路
では“人間干物”になってしまいそうですが、玉川上水のグリーンベルトに辿り着くと、ホ
ッと一息!鬱蒼と茂った枝葉の有難さを一番感じる時です。
寺橋付近に差し掛かった時、数年前のある一瞬を思い出しました。その日も気が遠くな
りそうに暑い日でした。もう引き返そうかとした時、紺木綿姿の女性が私の背後からす
り抜けて行きました。白いパラソルに縦縞の入った夏帯と白足袋…映画のロケシーンで
はないかと思うくらいキマッテおり、ことに足さばきの軽やかさに目を奪われました。
慌ててシャッターを切ったのですが、ワンカットだけで、その “和服美人” は遠ざかって
しまいました。白昼夢ではない証拠の一枚に575を。
数日前には小松橋付近の水路際でコサギが一羽、木に止まって毛繕いを始めました。
翼を片方ずつ広げては嘴で素早くケアしている姿はソロダンスみたいでした。何度かシ
ャッターを切ったのですが、動きが早くボケボケに。飛び立つ寸前だけは何とか…。コサ
ギもこう暑くてはかなわんと、羽根休めをしていたのかしら。
上水沿いの保存樹林ではヒヨドリバナが開花し、小判草が揺れて涼味を。ヒヨドリバナは
秋の七草の一つフジバカマに趣きが似ていますが、白い小花を散房状につけます。
ヒヨドリが鳴く秋口に咲くことが名前の由来だそうですが、上水では土用の頃から開花
するようです。ヒヨドリバナもフジバカマもキク科の多年草です。
おや、アキノタムラソウにスジチョウが!名前は “秋の田村草” ですが梅雨明け頃から開
花。ほっそりした茎に輪生する唇弁型の小花は蝶を呼び寄せ、炎天下でも薄紫色が涼
しさを。淡いピンクの小花が泡のように軽やかなチダケサシ。乳茸(チダケ)という食用茸
を採取する時に、細くて堅い茎に刺して持ち帰った風習から乳茸刺の名前になったとか。
その名のイメージとは違って優しいピンクピンクで猛暑疲れを癒してくれるよう。