東日本大震災発生から3週間余、4月を迎えましたが4月本来の陽気が感じられませ
ん。被災地の状況は深刻で、これからの方が苦難が長く続くのではないでしょうか。
福島第一原発の事故災害も人為では及ばぬ段階に来ていると思わずにはいられませ
ん。災害から立ち直ろうとしている被災者、全国各地で支援に立ち上がっている人々の
パワーに希望を託しながら、セルフコントロールに努めている日々。
久しぶりに日中の気温が12~13度を上回った先月29日、喜平橋~小川橋まで往復し
て上水堤の観察をして歩きました。
その1週間前には全く休眠状態だった土手に春蘭が一斉に立ち上がっていました。
その野趣と素朴さは日本が誇る東洋ランの一つで、開花したばかりの幼い春蘭は晴
れない心に寄り添ってくれるようでした。
小平市中央公園南側の堤には、春蘭のひそやかな群落が例年通り観察され、「一日
も早く日々の暮らしを」と、祈願の舞いを舞っているような姿にも見えました。しかし年
々、路肩の崩落が進み、傾斜も急になっており、先々が案じられます。
タチツボスミレも窪みや木の根元に小さな群落を作ったり、1~2株ずつ点在して薄紫
色の可憐な花を咲かせていました。5~6年前までは座布団くらいの群落が見られた
のに、何故か孤立化が進んでいるみたいです。日本はスミレ(菫)王国と言われて野
生種が豊富だそうですが、玉川上水に自生しているのはタチツボスミレ (立坪菫)が
殆ど。成長すると茎は地表に伸びて立ち上り、丸っこいハート形の葉が始めは根出し
ますが、茎が伸びると葉もそこにつくようになるそうです。
菫の語源は大工さんが木材に印をつけるのに用いる墨入れに、花の姿が似ているこ
とから、と伝えられています。
[創価学園キャンパス前で暗紫色の異様な雰囲気の植物が、ひっそりと立ち上がっ
て先行き不安な予兆ではないか…と。
草丈30センチ前後で、花の筒部分は白と暗紫色の縦縞模様が不気味で以前、久
右衛門下流で見かけたウラシマソウに似ていました。仏炎苞の特徴からしてサトイ
モ科の花に違いないけど、ウラシマソウのように仏炎苞の先端から細い糸を伸ばし
てない。
これがマムシグサかしら…撮った画像と図鑑を見比べてみた結果、ミミガタテンナ
ンショウ(耳型天南星)で、マムシグサと違って仏炎苞の縁に耳たぶ状の張り出し
が顕著でした。
しかし、図鑑によるとムサシアブミ(武蔵鐙)マムシグサ(蝮草)オオマムシグサ(大
蝮草)などサトイモ科の見分けは難しいとのこと。「天南星」とは中国で夜空に広が
る星の意味をあらわし、花が終わりに近づくにつれて広げる葉の様子に譬えられたも
ので、7~11枚の小葉からなる葉は通常2枚つき、ヤツデのように広げるそうです。
帰途、注意深く見てあるきましたらウラシマソウも立ち上がりかけていました。
ウラシマソウ(浦島草=2009年4月撮影)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
4月2日午後8時現在の警察庁による被害状況は死者1万1938名、行方不明1万
5478人。避難者16万4244人。東電福島第一原発2号機の取水口付近にあるコン
クリート製の立て坑の亀裂から毎時1000ミリシーベルトを超える高濃度放射性物
質を含む汚染水が海に流出しており、亀裂を塞ぐ作業は難航しています。
最悪の状態を食い止めるために、最前線で身体を張っている工事関係者の安全を
祈ると同時に、被災者が生きてて良かったと言える日が訪れますように!