いよいよ師走。激しい風の音に目を覚まされた12月最初の日曜日ですが、陽が高く
なるにつれ風もおさまり気温も上がってきました。二日ほど降り続いた冷たい雨と北
西からの強い風で、紅葉しかかっていた葉が一気に落ちてしまったのではないかと
気にかかります。上水沿いの紅葉と散りかけた木々を見上げながら歩くのを楽しみ
にしていたのに…。 今シーズンはどんぐりが不作でしたが、廃りかけた枝葉の間に
間に真っ赤に熟した実を見つけると、ほっこりした気分に。
スイカズラ科落葉低木のガマズミの実も、 どんぐり同様に今シーズンは少なかったの
ですが、寺橋付近と玉川上水駅下流付近で見かけました。東日本大震災と・福島原
発事故に記録的な猛暑、相い次いだ局地的豪雨による大洪水と土砂災害などで、苛
酷だった今年ですが、木々の実は初冬の灯かり!来春への希望を灯してくれるようで
した。ちょっと渋味があるけれどホワイトリカーに漬けると真っ赤に染まり、色鮮やかな
ガマズミ酒ができるそうです。
寺橋付近ではカマツカの実も紅に。4月末から5月初めにかけて白い可憐な花をたく
さん咲かせていたのですが、早々と野鳥の餌になったのか天候のせいか、赤く熟した
実は乏しく、寂しい限りでした。材は粘り強いので鎌や鎚の柄に用いられてきたそうで、
カマツカ(鎌柄)の名称に。
毎年楽しみにしているのはツリバナの実です。吊り花の名のように長さ5センチ前後の
果柄の先にぶら下がって、1センチ余りの球形の実を付けます。果皮が赤熟してくると
パックリ5つに裂けて、朱色の種も5個。その姿は空中ブランコしているよう!
超絶技巧の離れ業ですが、そのクライマックスに出合うのは難しく一期一会です。
しかし、上ばかり見上げて歩いているので、路上に張り出した木の根に躓くことが多く、
おっかない、おっかない思いも!
赤い実の中でもユニークなのはゴンズイでしょう。直径1~2センチの実ですが、
肉厚の果皮が裂けると剽軽でエロティック!パックリ口を開けた怪獣が黒い種子
を吐き出しているようにも見えます。落葉小高木の樹皮がナマズ類の魚ゴンズイ
に似ているとか、材が脆くて役に立たないので同じように役に立たない魚のゴン
ズイの名がつけられたという説も。
紫色の小粒の宝石のようなムラサキシキブの実も、初冬の雑木林を彩り、楽しませ
てくれます。「源氏物語」の作者で平安時代の才女紫式部の名に因んだ実は、葉が
黄昏れていくにつれ、色濃く渋い魅力を放ちながら年の瀬に。
上は先日、買い物に向かう道筋で出会った冬の薔薇です。朱赤の薔薇が鉄製のフ
ェンス越しに冬の陽射しを浴びて、にっこり!