道すがら紅白梅も咲きそろい、遅々としていた新芽も吹き始めまし
た。すっきりしない天候に、ここ一週間は道草歩きもままならなか
ったのですが、古くからの知り合いの声楽家・柚山明子さんを訪ね、
童謡やわらべうたを話題に童心に戻り、“青春” もしてきました。
1~2年に一回は柚山さんのコンサートで会っているのですが、国立
駅北口から徒歩10分ほどの彼女の自宅を訪ねるのは、四半世紀ぶり
でしょうか?道沿いの住宅がマンションやコンテンポラリーなハウス
に建て替えられて、「この道でよかったのかしら?」と、足を止める
こともしばしば。立川段丘を上りつめた辺りの一角には、用地の関係
からか空き地になっており、菜の花や紫花菜(俗に花大根)、ペンペン
草(ナズナ)、ホトケノザ(仏の座)などの住処になっていました。中央
線の土手の上で、日当たり抜群のせいか菜の花たちは元気で、“健康
優良児”そのものでした。
近くの農地ではサンシュユも開花して…。
チャイムを押すと、にっこり現れた柚山さんは手織りの赤いプルオー
バーがとても似合っていました。「まあ素敵!」と声を上げると、
「赤い色を着てないとお婆ちゃんになってしまうから、年ねえ」と、
柚山さん。私もコートの下は真っ赤なセーターを着込んでおり、
「お互い様よ」と大笑いに。二人とも愛媛の同郷で、同年齢のせいか、
四半世紀前に出会って以来の付き合いです。
柚山さんは武蔵野音大声楽科卒業後、オペラやドイツリートは自分
の感性に合わないと、畑中更予さんに私淑して日本歌曲や童謡を歌
っていたのですが、 地方、地方に伝わる素朴な「わらべうた」に惹
かれたそうです。以来、30数年「わらべうた」一筋。ゼロ歳児から
学齢期前の親子づれを対象に、わらべうた遊びの会を自宅の他、多
摩地区をはじめ青森県、香川県でも開いており、延べ880回にも!
レッスン室にはちびっ子たちが喜びそうなグッズが溢れていました。
でも、乳幼児たちのお気に入りはグランドピアノの下で、寝そべっ
たり、おしくらまんじゅうをして遊ぶことだとか。
ちびっ子たちからも「あきこさん」と呼ばれている柚山さんと、津
軽三味線と笛を主にした和楽器奏者の木村俊介さんと小野越郎さん
による「わらべうた」コンサートが下記の通り開催されます。木村
さんと小野さんのDuoは2010年「第3回和の響き 邦楽グループコ
ンテスト」で最優秀賞に輝いている実力派です。イギリスやデンマ
ーク、ポルトガルなど海外の音楽祭にも招聘され、絶賛を浴びてい
ます。
ところで、「花いちもんめ」や「富山の薬売り」などのわらべ歌を記
憶しておられますか?
越中富山の薬売り 鼻くそ丸めて万金丹
それを買うのは あんぽんたん
それを飲むのも あんぽんたん 柚山さんのコンサートでは、こんな「からかい歌」を会場の皆で歌っ
て遊びます。ご一緒に青春しましょ!
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※国立市に住んでおられた畑中更予(こうよ)さんは日本で一世を風
靡したバリトン歌手・畑中良輔さんの奥様で、一昨年2月、87歳で
他界されました。畑中良輔さんの方は90歳の今日も指揮者や歌唱指
導、作曲家として現役でおられます。