ジェットコースターのように激しい寒暖差を繰り返しながらも、三月も第四日曜日に。
“暑さ寒さも彼岸まで”と言い習わされてきた彼岸の中日・春分も過ぎましたが…何が
起きるか分からない世の中。想定外のことが日常化しており、気象も異常続きです。
遅ればせながらも草木は春本番に向けて準備を。玉川上水堤でも春分の日前後か
らシュンラン(春蘭)も立ち上がり、薄緑色の花弁を開き始めました。混み合っている
葉や枯れ葉の間に、その優雅な姿を見つけると、「今春も出会えて幸せ!」と、元気
になります。ことに 小平市中央公園の南側の堤には、春蘭が多く自生しております
が、都道3・2・8号府中所沢線の工事が始まると、その多くの行く末が気にかかりま
す。
シュンランは春蘭と書くように、春早々に開花する日本原産の野生ランで、鉢物とし
て親しまれている洋蘭のシンビジュームの仲間だそうです。この日本シュンランも乱
獲や乱開発で自生地が失われつつあります。幸い、玉川上水堤は生息環境が維持
されているのか、ことに小川橋~小松橋では大小の群生が楽しめます。
下はいずれも都道3・2・8号線予定地内で撮影しました。
こんなにエレガントで日本情緒をたたえたシュンランの自生地がコンクリートで覆わ
れてしまっていいのでしょうか?密生した葉と同系色の花のせいか、ウォーカーの
多くの方は、シュンランが開花していても気づかないみたいですが…。
シュンランにカメラを向けていると、周囲の木立からチュピチュピ、チュピチュピと盛
んに鳴き交わしている野鳥の声が!見上げたらシジュウカラのようです。
営巣シーズンで、ラブコールを送っているのでしょうか。はるか上の方ですが、最大
ズームでシャッターを切ってみました。かろうじてシジュウカラだと分かる姿を撮ること
ができました。巣箱も掛けられていますが、幹の上部にあるのが巣に出入りする穴の
ようです。このケヤキも道路予定地に立っています。
またシュンランの周囲にはウグイスカグラの幼木があちこち植わっており、ピンクの小
さな花をいっぱいつけていました。細い枝先に咲いているラッパ型の花の径は7~8
ミリで、目につきにくいみたいです。
ブッシュ状態に張っている枝も細く、葉が出る前ですから花と枝が同系色で、私がカ
メラを向けていると、「あら、花が咲いているのですね」とか、「何の花ですか」と、声
を掛けられることもしばしばです。
これらの花が実になり、5月末頃から赤く熟します。ナツグミに似ていますが、もっと
小さく透き通るような赤。その実はウグイスの大好物だそうで、彼らが枝から枝へ飛
び交う姿が、神楽を舞うように見えることからウグイスカグラの名前が付けられたそ
うです。想像するだけでも 楽しい光景ですが…。やはり道路予定地内に育っている
ウグイスカグラも多く、先々が思いやられます。
そんな思いなど吹き飛ばすように、元気な花穂を掲げていたのはカンスゲでした。
纏に似た花穂をワッセワッセと掲げているよう。冬でも青々とした艶のある葉を茂ら
せているので、カンスゲ(寒菅)と呼ばれています。山地の樹下に生える多年草で、
春先に花茎を伸ばし、先端のヒラヒラした薄黄緑の穂が雄小穂です。その下部の褐
色あるいは黄褐色部分が雌小穂だそうです。
雄小穂の長さは1~2センチ。大きな株では20~30本もの小穂を掲げていますが、
堤の崩落が進んで、今にも崩れ落ちそうな場所に しがみついている株も少なくあり
ません。それでも元気に雌雄の穂を掲げて、春愁を吹き飛ばせてくれました。
こんな美しい鳩にも出会いました。白に近いブルーの羽に濃いブルーのボーダーが
二本、首の辺りは孔雀のように見えました。カワラバト の飼育品種が再野生化した
のかも知れません。