新涼や風とスイング雁草(かりがねそう)
9月第二日曜日の今日、やっと残暑から解放されました。身も心も蘇った気分で、赤
いウォーキングシューズで玉川上水堤へいそいそ。喜平橋下流右岸で風とスイング
しているカリガネソウ(雁草)に出会うことができました。
初秋の風は“色なき風”と称されますが、カリガネソウに出会うたびに、ちょっと変わっ
た5弁の花は、新涼の風の色ではないかと思う私です。青紫というか 藍色というか、
ヴェネチアングラスのブルーのようでも。
草丈は1メートル前後、葉腋の上部で枝分かれして弓なりになった柄の先端に、青紫
色の5弁の花がモビールのように揺れて、球形の蕾もキュートです。
下弁には白い絞りを施したような模様が特徴。シソ科の多年草とされていますが、ク
マツヅラ科だという説も。花冠から細長い雄蕊と雌蕊が弧を描いてユラユラ。揺りかご
みたいでもあり、ゴンドラにも見えて造物主の妙にサプライズです。
雁草という優雅な名前は、このユニークな花の姿からと言われますが、別名はホカケ
ソウ(帆掛草)。 山地に生える多年草で、優雅な花のイメージとは裏腹にかなり強い異
臭があります。焦げ臭い臭いです。
都営津田町アパートの敷地内で、ハナトラノオ(花虎の尾)の写真を撮っていたら、住人
の女性が腕に抱えていた花束を差し出して「この白い花の香りをかいでごらん」と、話し
かけてきました。「蘭かしら?」 見たことのない花に驚くと、「ほれ、葉はミョウガそっくり
でしょ。ハナミョウガよ。きれいでしょ。よかったら差し上げます」と言って、切り取ったば
かりのハナミョウガを私にプレゼントしてくれました。折角だから頂いて、その場で写真
も撮ってみました。蘭に似た花の径は4~5㌢。ミョウガとは思えない甘い香りが。
もう5~6年以上前に殿が谷戸庭園でハナミョウガを見たことがありましたが、白と紅色
の縞模様が鮮やかな花だった記憶があります。図鑑によるとハナミョウガ(花茗荷)は、
ショウガ科ハナミョウガ属の多年草で、中国、台湾、日本に分布。葉が茗荷に似て目立
つ花を咲かせる事が名の由来だそうです。食用にする茗荷の頭から白いほっそりとした
花をつけている姿もみたことがあります。
上は同アパート敷地内で出会ったハナトラノオ(花虎の尾)。晩夏から秋口に優しいピン
クの花穂を群れ咲かせています。北アメリカ東部原産で、日本へは大正時代に入り、丈
夫でよくふえるため急速に広まり、ポピュラーな宿根草の一つに。
四角錐の花茎の角に沿って唇弁型の花を整列して付けていることから、カクトラノオとも
呼ばれます。性質が強く、地下茎を伸ばして広がるので野生化して、上水堤でも小桜橋
~茜屋橋に群生も見られます。
上水堤では歩く先々で ミズヒキソウが花穂を繁茂しています。赤と白の米粒にも満たな
い蕾を点々とつけて。その姿から祝儀袋や熨斗紙に使われる紅白の水引に見立てられ
たミズヒキソウ(水引草)ですが、繁殖力が旺盛で日陰を好む野草や背丈の低い草花に
とっては侵略者みたい。実は我が家の家屋の北側にも繁茂しています。私のズボンの
裾や靴底にくっついて帰った種から発芽したようです。
可憐に見える花穂も強靭で、ちょっと引っ張ったくらいでは切れません。根も深く張って
抜くのも一苦労です。「どうしたもんじゃろのう」と NHK朝ドラのヒロイン・小橋常子とと
姉ちゃんの口癖を繰り返しています。
その水引草は今が開花期。よく目を凝らして見ると、粒状の蕾が開いて4弁の紅白の花
に蕊も認められます。2~3㍉の花をカメラに撮るのに汗だくになりましたが…。
上水堤でも彼岸花が咲き始めました。今月7日に茜屋橋で1輪、今日11日には鎌倉橋
付近で5~6輪、中央公園南側のフェンス際にも1輪咲いて、秋を感じる一日でした。