金蘭や思ひは千々に令和へと
10連休に入り、平成の世も残り三日、四月最後の日曜日に。昨日は寒戻りしたよう
な一日でしたが、今日は青空が広がり気温も平年並みに。今春は定まらない陽気
のせいか、紫木蓮がハナミズキと同時期に咲いて季節感も狂いがちに。
遅れるのではないか…と危ぶんでいたキンラン(金蘭)の開花は例年並みのよう。
数日前、キンランの群生が見られる上水新町地域センターを訪ねたら、まばらな樹
林の下で金の鈴をつけたような姿のキンランが見頃を迎えていました。開花株数も
例年並みのようです。
「今年は無惨ですね」。上唇弁の赤い斑紋を覗かせたキンランにカメラを向けていた
ら、一眼レフを手にした還暦世代の男性から声を掛けられました。
上水沿いを自転車で走ったところ、水路敷きにはキンランが激減しているとのこと。
「やはり、昨秋の台風で倒れたり、バッサリ折れた枝が放置されているせいでしょう
か?」と問いかけると、その男性は「復活するかどうか…。半年以上も放置されたま
まですからね」と、言い残して走り去って行きました。
上水堤の自生野草の中でも美しさと気品を兼ね備えたキンランは、茎や葉で光合成
して根に養分を蓄え増殖するとのこと。土壌の菌やその他条件が適してないと育た
ないとのことで、キンランの復活には年月がかかりそうです。
生育環境に恵まれた上水新町地域センター敷地内で、今春も楽しませてくれたキン
ラン。ラン科の多年草。茎先に総状花序を出し、3輪から10輪くらいの花をつけます。
花径は2センチくらいで、花は平らには開かず上向きに半開、下から上へと咲き上り
ます。4月25日撮影。
同地域センターから上水に沿って下って行くと、例年なら数多くのキンランが見られ
る創価学園・栄光橋付近でも倒木が境界柵を破壊して、横倒しになったまま。その付
近にかろうじて開花しているキンランも見られましたが、孤高で気の毒な姿でした。
上水堤でもお奨めのキンラン観察スポット・津田塾大南側の堤も、頑丈そうな境界柵
がズタズタで、オレンジ色のシートが張られ、キンランの姿は下草の間に見え隠れ。と
ても観察したり、撮影できる状態では…。
晩春から初夏にかけて、上水堤に武蔵野情緒を添えてくれるユリ科のチゴユリ(稚児
百合)とホウチャクソウ(宝鐸草)も、今春は少なく淋しい限りでした。倒木や下草刈り
されてない原野状態の堤で、やっとカメラに収めたホウチャクソウとチゴユリ(右)。