エゴ咲くや静心なく揺らす風 五月も半ばを過ぎて第三日曜日に。連休明け前後から上水堤にマルバウツ
ギ(丸葉空木)が開花し始め、コゴメウツギ(小米空木)やガクウツギ(額空木)
も咲いて、堀際の暗がりが賑わってきました。いずれもユキノシタ科の落葉
低木で、卯の花とも呼ばれるウツギ(空木=アジサイ科)とは、別種ですが、
初夏に白い小さな花を咲かせて、目を楽しませてくれます。
そして頭上にはエゴノキの花が豆ランプのような白い花を一斉に開花。よく
もこんなに沢山の花を…と驚いてしまうくらい、夥しい数の花をつけている
せいか、絶え間なくゆらゆら。揺れている姿もまた素敵ですが、カメラ泣かせ
です。
オートで撮ってみたら、数えきれないほどのミニランプのようなエゴノキの花
が!武蔵野の雑木林に多い樹種の一つで、とくに小平市域の堤にはエゴノキ
が多いそうです。
5弁の花びらに見えますが、白い花冠は5つに深く炸裂した1個の花で、花冠は
直径2~3センチ。開花後3~4日で10本余りの黄色い雄蕊ごと落花。大粒の雨
が降るように音立てて落下してきます。
境界柵の脚柱や古い切株の上にもエゴノキの落花が見られ、その姿も初夏の風
物詩かも。落花後、マッチの頭くらいの翡翠色の実が次第に膨らんで来るのを見
るのも楽しみですが、昨年の夏は記録的な猛暑が続いたせいか、翡翠色の実が
赤茶けて落下してしまい、秋口には淋しい限りでした。その実を食用にしている野
鳥にとっても苛酷な昨秋でした。
近年は「卯の花匂う垣根に…」と童謡にも歌われているウツギよりも、マルバウ
ツギの若木が殖えてきました。枝先に散房状につけている花の直径は15~20㍉
ぐらい。5枚の花弁を星型に開き、橙色の花芯部が特徴。ウツギが俯いて咲くのに
対して、マルバウツギは上向きに開花。卵円形の葉がウツギ本種より大きく丸いこ
とから、丸葉空木と。
堀際で垂れるように咲いているので、歩行者の目に止まりにくいのが残念です
が、初夏の上水堤を華やげています。津田塾大東側の新堀用水沿いが見どころ。
気を付けて歩くと、真っ赤に熟したウグイスカグラ(鶯神楽)の可愛い実、目立た
ない色だけど、ツリバナ(吊り花)も例年になく沢山咲いて…。初夏の上水堤は魅
力的です。