捩り花露おく芝で寄り添ひて
6月も第四日曜日に。一昨日来、大気の不安定な状態が続いております
が、今日は時々陽が射すものの薄曇りの一日でした。
今年はどうかしら…と小平団地へ。2街区の芝生で捩り花がひっそり。草
丈10㌢余りですから、目につき難いのですが、細い花穂に米粒くらいのピ
ンクの花を螺旋状に。
昨年は開花前に芝刈機で刈り取られて、出会うことが出来なかったので、
捩り花に出会うのは2年ぶり。一斉草刈りされても生き延びておりました。
なよなよしているように見えて、かなり逞しく繁殖力も旺盛だとか。
接写してみると、ラン科の花に多い唇弁型の極小の花を、螺旋状に付けて
おります。右巻きと左巻きがあり、ほぼ直線状の花穂も。
いずれも上唇弁は淡いピンクで、下唇弁は白のツートンカラー。その精緻
で可憐な容姿に魅せられてしまいます。
捩り花は螺子(ねじ)花、文字摺り(もじずり)とも呼ばれ、《古今集》巻十
四には河原左大臣・源融の〈陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れむと思
ふ我ならなくに〉の歌が有名。
しのぶもぢずり(忍捩摺)は信夫郡(福島県)の名産で,石に草木をこすり
つけ,布にその色を移した染物。山口地区に文字摺石という石があり,芭
蕉も《おくのほそ道》の紀行で訪ね,〈早苗とる手もとや昔しのぶ摺〉の句
が詠まれています。
上は左巻きと右巻きのツーショット。10年ほど前に同団地で撮影。
捩り花の近くの号棟付近では、オオバギボシ(大葉擬宝珠)が雨に打たれ
て傾きつつ、漏斗状状の薄紫色の花を。蕾が橋の欄干などの擬宝珠に似
ているので大葉擬宝珠。長楕円形の大きな葉は葉脈がくっきりとして美し
い。料亭などでは料理の盛り付けに使うことも。
茂みにはトキワツユクサ(常盤露草)の姿も。茎と葉はムラサキツユクサに
似ていますが、頭花は直径1.5センチぐらい。三角形に近い三枚の花びら
は純白で、雌雄の蘂が絹糸をほぐしたようにフワフワ。黄色の葯が際立っ
て優しい風情を。
日本的な情緒の花ですが、南アメリカ原産で昭和初期に園芸植物として
導入され、その後野生化して、路傍の日陰でも見かけます。
大気の状態が不安定で上水散歩もさぼりがちですが、ノカンゾウ(野萱
草)薮萱草が見頃を迎えていることでしょう。